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伝わる伝説と昔話
僧屋敷とこうもり巌

昔、三里ヶ峰に飛鉢上人というえらいお坊さんが住んでいました。 不思議なことに、いつも鉢を飛ばすと中に食べ物が入って返ってきました。
ある日、「いわしろ。」と叫んで岩代の方角に鉢を飛ばすと、なんと「鰯」が入って 返ってきたのです。 お坊さんは生物を食べることを禁じられているので、 修行の未熟さを恥じた飛鉢上人は、岩穴の中に籠ってしまいました。
その穴がこうもり岩(こもり岩)で、それ以来、寺は衰えついに荒れ野原になってしまったということです。
阿波惣神社の話

昔、阿波の国から来たお坊さんが熊野詣の途中、 高城の滝でひどい腹痛のために動けなくなりました。 それを親切な村人が家に運んで看病しましたが、一向に治りません。
ある日のこと、お坊さんは村人に 「私は助かりそうにありません。私が死んだあと、神としてまつってもらえれば、 腹の病気は必ず治しましょう。」と言いました。
お坊さんの死後、村人たちは祠を建て、丸い石をまつりました。 これが、『阿波惣神社』の始まりです。 今でも子供の腹当を作ってお参りする人が絶えないそうです。
桜木山の話

昔、薩摩の国から来た花地源兵衛という武士が、 清川名之内に屋敷や城を構えて一族と暮らしていました。
ある日、戦におもむく源兵衛は、「二度とこの地に帰ることはないだろう。」と 言い残し、桜木山に桜の木を植えて旅立ちました。
やがて桜は大木となり、一度は倒れましたが再び新しい芽が育ち、老木となった今でも、 春ごとに美しい花を咲かせます。
この桜が、東に向かって咲く年は東が栄え、西に向かって咲くときは西が栄えると 言い伝えられています。
つるの湯

昔、二羽の傷ついた鶴が熊瀬川の川岸の水たまりでお互いのくちばしで湯を塗りあっていました。
数日後、傷を治した二羽の鶴が仲良く飛んで行くのが見られました。
それ以来、その湧水は『鶴の湯』と呼ばれるようになりました。 実際はアルカリ性の炭酸泉で、傷や痔によく効くということです。